胆嚢摘出術を行うことによる合併症

胆嚢は肝臓で作られる胆汁を集める胆管につながる臓器です.そして血管もあります,これらを処理するときに生じる,胆嚢摘出術独特の合併症があります.

@ 出血:
手術中は出血があれば,その原因となっている血管を糸などで結紮,閉鎖してしたり,血管の断端を焼いて内腔を焼きつぶしてかさぶたを作り止血してしまうのですが,術後にもその危険はあります.結紮していた糸が外れたり,かさぶたが外れたりして出血することがあります.小さな血管からの出血であれば自然に止血しますが,極めてまれですが,大血管からの出血だと緊急手術が必要になることがあります.

A 胆汁漏:
胆嚢摘出術は文字通り,胆嚢管で胆嚢を切り離すだけの手術です.
胆嚢管を切るためには総胆管側の胆嚢管を糸(またはクリップ)ではさんで閉鎖してから,胆嚢管を切り離しますが,その後で胆嚢管を閉鎖していた糸,が外れてしまうことが,まれにあります.すると胆嚢管から胆管内の胆汁が漏れ出てきて腹腔内に広がり,胆汁腹膜炎をおこします.
また胆嚢へは胆嚢管からだけでなく,肝臓内の胆管から直接胆嚢へつながっていることもありも,胆嚢を切除した時に,その胆管をそのまま切り離してしまっていることがあり,胆汁が腹腔内へ流れ出てしまうことがあります.
 たたこうした胆汁漏は総胆管内へ胆汁を吸い出すためのチューブを挿入(内視鏡的,十二指腸から挿入しますENBD)すれば,数日で治癒しますので,再手術になることは稀です





B 胆管損傷;
炎症の無い胆嚢を摘出する手技は単純で,決して難しいものではありませんが,胆嚢炎,胆管炎,膵炎を繰り返した患者様の場合,それぞれの臓器が,腫れて硬くなったり,脆くなったり,出血しやすくなっていたりと,手術が非常に難しくなってきます.そんな時に総胆管などの胆管に傷をつけてしまいそこから胆汁が漏れ出る場合があります.
総胆管を離断してしまう場合には再手術をしなければなりませんが,小さな傷をつけた程度であれば,Aに示したようにENBDでチューブで胆汁を胆管から吸い出してやると,腹腔内への漏れは少なくなり,自然に閉鎖してくれます.