5.胆石症の手術とはこんなことをするのです
胆石症に対する手術は「胆嚢を取り除く」ことです.
胆嚢に入り込んでいる動脈と静脈を出血しないように処理してから切ります.また胆嚢の半分は肝臓に埋まっていますが,肝臓からも血管が来ていますのでここも切ります.
胆嚢を取るということだけが手術の全てですから面倒な手術ではありません.
患者様にこのようにお話をすると「石だけ取り出すのではだめですか」と聞かれますが,
それでは意味がありません.
胆石のできる理由の説明の項でも書きましたように,胆嚢の中に結石が生じたのは胆嚢に内腔を洗浄することができない.すなわち「胆嚢の働きが悪い」から結石ができたのですから,仮に胆石だけ取り出したとしてもすぐにまたできるでしょうし,胆嚢を切開して結石を取り出したのでは胆嚢を大きく傷つけることになるので一層胆嚢の働きが悪くなり,そのような手術では意味がありません.
また「胆嚢を取ってしまって大丈夫ですか」という質問も多く受けますが.「大丈夫です」とお答えしています.
胆嚢の働きが悪くて胆嚢本来の仕事ができない状態ですので,これを取り除いても機能的には現状と差はないはずですのでそのようにお答えしています.
しかし,胆嚢が正常で正常の状態で,胆石の無い人と同じかというと,そんなことは無いことは当然です.したがって,少し便が緩くなったとか,といった変化を言われる方はおられますし,手術をしたのですから,傷が痛む,おなかに傷が消えない他の,開腹手術の合併症(開腹手術であれば,)や,腹腔鏡下手術の合併症(腹腔鏡下手術であれば)は起こります.
もちろん,ほとんどの方は何も問題がないか,問題があっても気になるほどではないものです.
この手術は100年以上の間,世界中で行われてきた手術ですので,「安全な手術」と言っても問題ないのではないでしょうか.
また20年以前から腹腔鏡下手術が完成されてきて,さらに手術後の不安が少ない手術が行われてきていますので,ご安心ください.
胆石症の初めに戻る)
.