虫垂切除による合併症

 手術の合併症には全身麻酔による合併症腹部の手術を行うことによる合併症に加えて,「虫垂切除」という操作を行うことによる合併症,事故がありますのでここに書いておきます.

@腸管,他臓器損傷:手術は虫垂だけをつかみだして摘出することはできません.虫垂炎がひどくなればなるほど,虫垂は周囲の小腸,大腸,脂肪組織,腸間膜などの中に囲まれてうずくまっています.この中から虫垂だけを取り出すのですが,この時にこれら他の臓器を傷つけてしまうことがあります.手術中に気づけばその場で修復しますが,ごくまれに気が付かずに,手術の後で腸管内容が漏れ出たり,腹膜炎を起こすことがあります.

A縫合不全;非常に稀ですが、虫垂の切って閉じた断端や腸と腸のつなぎ目がうまくつかず、そこから腸液がもれる事があります。この場合は再手術が必要になります。

B腹腔内膿瘍:遺残膿瘍 すでに虫垂に穴が開き、腹膜炎になっている場合、お腹の中を徹底的に生理食塩水で洗浄します,そしておいても手術の中には汚れた液体が多少とも溜まりますのdせ,その液体をお腹の中にたまったままにしないように,液体のたまりそうな部分にチューブ(ドレーン)を入れておきます。このように徹底した治療で多くの場合はきれいに治癒しますが、汚れがひどいときなどにはドレーンを入れておいた以外の部分に汚れがたまったり,感染して膿となって,術後の炎症,発熱などの原因になることがあります。ドレーンの位置を変更したり、ときには再手術でドレーンを入れ直したりする必要が生じる場合もあります。

C大出血:手術中は出血があれば,その原因となっている血管を糸などで結紮,閉鎖してしたり,血管の断端を焼いて内腔を焼きつぶしてかさぶたを作り止血してしまうのですが,術後にもその危険はあります.結紮していた糸が外れたり,かさぶたが外れたりして出血することがあります.小さな血管からの出血であれば自然に止血しますが,極めてまれですが,大血管からの出血だと緊急手術が必要になることがあります.

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